知っておきたい2023年度税制改正大綱のポイント

四方山ばなし
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みなさんこんにちは!

1級FP技能士のシワターです。

2023年度始まりましたがいかがお過ごしですか??

身近なものの値段がグングン上がって給料も上がっ・・・

てる人もそうでない人も関係なく毎年税制ってやつは改正されます。

NISA制度が…とかインボイス制度が…なんて耳にした方もいると思います。

普段気にすることはあまりないけど実は大きな改正があったりします。

今回の税制改正のポイントを見極めてぜひ損のないようにしてください。

この記事では2023年度税制改正のうち主に個人に関わるものについて書いていきます。

※ポイントとなるものに触れているため、すべてを網羅していません。

令和5年度税制改正大綱

はい? ゼイセーカイセータイ・・・??

ぜいせい かいせい たいこう

といいます。

各省庁からあがる要望などを受けて、与党の税制調査会が中心となって翌年度以降の税制改正の方針をまとめたものです。

2022年(令和4年)12月16日に自民党・公明党から公表され、同様の内容が12月23日に政府により閣議決定されました。

税制改正ってやつは内容の濃さはともかく毎年あります。

税制改正大綱の結論をさきに言ってしまうと

まあ時間はあるのであわてずじっくりとやっていきましょう!

野良1級FP技能士 シワター

そんな感じです。

・・・何が?

今回の税制改正ですが、新NISA制度などインパクトある改正がありました。

しかし、実際の施行時期は2024年からであったり(インボイス制度はもうちょい早いですね)

これまで実施されてきた減税などの措置が延長されたのがほとんどです。

税制改正と聞くとなんとなくソワソワする感じがあるかもしれませんが

あわてずじっくりと自分に関係のある所を確認していくのがよろしいかと思います。

個人所得課税

NISA制度の拡充・恒久化

「貯蓄から投資へ」

の流れでNISA制度の抜本的拡充・恒久化が行われることになりました。

  • 新NISA制度の設立

2024年1月1日以降、現行の一般NISA・つみたてNISAを1つにまとめた新しいNISA制度が創設されます。

  • 現行の制度はどうなるか

現行の一般NISA・つみたてNISAの投資可能期間は2023年12月31日までとなりました。

現行制度の投資は新制度には引き継がれませんが、取り扱いは継続されることになりました。

ちなみにジュニアNISAは(残念ながら人気がな〇ため)延長されず

投資可能期間が同じく2023年12月31日までとなっています。

  • 新NISAはつまりどうなの?

新NISAではNISA口座内での非課税保有期間が一生涯(無期限)となります。

つまり、より長期的な観点からの資産形成が可能となりました!

投資できる枠(金額)も大幅に増えたため投資に対してのハードルは

さらに低くなったと言えるでしょう。

1つだけ注意点として、

非課税=NISA口座内の損失はなかったものとされるということなので

もし損失が出た場合にも他の一般口座と損益通算はできません。

スタートアップ支援の創設

スタートアップ企業への投資を拡大するための優遇措置が創設されました。

  • 概要

創業時の投資額をその年の株式の譲渡所得から控除できる。

譲渡時には投資額を含め、20億円までの譲渡所得には所得税が課税されない。

  • 要件

対象となるスタートアップ企業には、

設立1年未満の中小企業者であること

販売費および一般管理費が出資金額の30%超である等

の要件が定められています。

※エンジェル税制とは別枠となります。エンジェル税制との選択適用が可能となっています。

エンジェル税制の要件緩和とストックオプション税制の拡充

いわゆるエンジェル投資家と呼ばれる方々がベンチャー企業に投資を行った場合に、

投資時、売却時のいずれの時点でも税制上の優遇措置を受けられる制度です。

要件が緩和されたのは

現行では投資時点の全額を譲渡所得から控除できるというものですが

プラスで投資した株式を譲渡した際の所得のうち、20億円までは課税されなくなりました。

また適用対象となる中小企業者(ベンチャー企業)の特定株主グループの保有割合要件などが緩和されました。

ストックオプション税制とは一定の要件を満たす場合、権利行使時に通常行われる課税を繰り延べ

売却時に譲渡所得が課税される制度です。

この一定の要件のうちの権利行使期間の要件について、

“一定の会社は付与決議後15年を経過する日まで”となりました。

シワター
シワター

スタートアップ支援やエンジェル税制とかはFP試験を受ける人向けの情報かな💦正直僕には縁遠い税制だわ(笑)

極めて高い水準の所得に対する負担の適正化

極めて高い水準の所得者…

大金持ちのことです

の人ほど所得に占める株式等の比率は高くなりがちです。

給与所得などは累進課税制度といって収入が多いほど税負担が重くなる仕組みですが

金融所得(株式を売却したときの所得など)は一律15.315%の分離課税となっているためです。

まあいわゆる余裕資金がとんでもなくあるからっていうのもあるんでしょうけども。

そこで新しく計算式を作ってその結果が基準所得税額を超える場合には差額金額分の所得税額が課税されることになります。

基準所得金額 - 3.3億円 × 22.5% > 基準所得税額 = 差額分の所得税が課税

2025年以後の所得税について適用されることになる予定です!

資産課税

相続時精算課税制度の使い勝手向上

相続時精算課税制度とは2003年に

「次世代への早期資産移転および当該資産の有効活用を通じて経済社会の活性化に資する」

ことを目的として導入された制度です。

かんたんに言ってしまうと

相続で財産をあげるんだったら先にあげて子供世代が使った方が経済回っていいでしょ?

という感じです。

具体的には贈与時に2500万円の控除額をもうけて(贈与税かからない)、

相続の時に贈与した財産をすべて相続財産に加算して相続税を計算しなおすというものです。

(相続時の基礎控除額が2015年に改正されてちょっと話題になりました。)

今回の見直しでもっと使い勝手を良くしようという措置がとられました。

  • 現行制度の2500万円とは別に年間110万円の暦年贈与を控除できる!そしてこの暦年贈与の分は相続財産に加算しない。
  • この制度を使って贈与された土地・建物が災害で被害を受けた場合、相当する額を控除したうえで相続財産に加算すればよい。

2024年1月1日以降の適用となります!

暦年課税における相続前贈与の加算

被相続人(亡くなられた方)から生前に贈与された財産を相続財産に加算する年数を

現行の相続開始前3年以内から7年以内に延長することとなりました。

4年間延長となる贈与財産のうち、合計100万円までは加算しない(控除される)ことになります。

この加算は2024年1月1日以降順次適用となることから最終的に7年加算されるのは2031年以降となります。

教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税措置の見直しと延長

  • 教育資金の一括贈与

節税目的ばっかりに傾斜しないように見直しを少し行い、

2026年3月31日まで3年間延長されることが決まりました。

☆ 改正内容

・贈与した境域資金の未利用額に対する相続税の課税

⇒相続税に係る課税価格が5億円を超える場合は相続税の課税対象となる。

・受贈者が30歳に達した場合などに教育資金未利用額の贈与税率

⇒特例なくすべて一般税率

  • 結婚・子育て資金の一括贈与

受贈者(贈与された人)が50歳に達した場合等に未利用の結婚・子育て資金がある場合の贈与税率を

特例なく一般税率としたうえで2025年3月31日までの2年間延長されました。

消費課税

適格請求書等保存方式に係る見直し

2023年10月に施行される消費税の適格請求書等保存方式、いわゆる

インボイス制度

について円滑な制度移行のため、新たな税制上の措置がとられることとなりました。

インボイス制度についてはそれだけでとっても大きなボリュームになってしまうため

改正のポイントだけ4つ挙げていきます。

  1. 小規模事業者に対する納税額に係る負担軽減措置(2割特例)
  2. 一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)
  3. 少額な返還インボイスの交付義務免除
  4. インボイス発行事業者の登録申請手続きの柔軟化

これまで消費税を申告したことがない事業者(免税事業者)がインボイス登録をすることで課税事業者となります。

この事務負担や消費税分の急な価格転嫁を少しでも軽くしようとする改正がなされたかたちです。

自動車重量税・自動車税等の見直し

  • エコカー減税
  • 環境性能割の税率区分

の見直しが行われ、今年いっぱい(2023年12月31日)までは現行のままですが

2024年1月1日以降ちょっとずつ車の環境性能(2030年度燃費基準)に対して

減税幅の縮小、税率区分がシビアになってきています。

自動車はますます環境への配慮を求められていきますね。

納税環境整備

電子帳簿等保存制度の見直し

とても漢字が似合わない制度ですよね。

この制度は「電子帳簿保存法」という法律によって規定されています。

ざっくりいうと

「帳簿類をデジタル保存すれば適正公平になるし、帳簿の保存とかの負担軽減にもなるよね。」

こんな感じです。

今回の税制改正大綱では以下の改正が決まりました。

  1. 対象となる帳簿の明確化
  2. スキャナ保存の簡素化
  3. 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保保存制度の見直し

適用時期は2024年1月1日以後となっています!

その他(増税措置)

2024年以降に予定されている増税措置についてです。

「2024年以降の適切な時期」とされており具体的なスケジュールは未定です!

防衛力強化に係る財源確保のための税制措置

日本の防衛力の抜本的な強化を行うという岸田ジャパンの肝入り施策として

法人税・所得税・たばこ税

について増税となる見込みです。

  • 法人税

・法人税に対し、税率4~4.5%の新たな付加税が課されます。

・中小法人に配慮する観点から課税標準となる法人税額から500万円が控除されます。

  • 所得税

・当分の間、税率1%の新たな付加税が課されます。

・物価高など家計を取り巻く状況に配慮し、復興特別所得税の税率を1%引き下げ

(現行2.1%⇒1.1%)課税期間は延長されます。

延長期間は復興事業の着実な実施に影響を与えないよう、復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さ…とされています。

  • たばこ税

・1本3円相当の引き上げ。

・国産葉たばこ農家への影響に十分配慮しつつ、段階的に実施されます。

シワター
シワター

増税については思うところもいろいろとありますが今回の記事では差し控えましょう💦

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回解説した他にも法人税関係や、相続空き家特例の適用期間延長などまだまだボリュームたっぷりの改正ですが

  • 貯蓄から投資へ
  • 相続の円滑化
  • 環境への配慮(SDGs関連)
  • 適正公平な課税のためのデジタル化と法整備

上記4点がメインテーマとなっている(=国の課題)と考えられますね。

あわせてコロナ対応費、防衛力強化や異次元の少子化対策など国としてお金のかかることも

どんどん増えているので増税議論もますます盛んになっていくことでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

プロフィール
この記事を書いた人
シワター

1981年生まれ
妻と長男、次男との4人暮らし
1級ファイナンシャルプランニング技能士|金融機関に13年勤務|年金アドバイザー3級
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